2026年10月29日木曜日

参百参拾四~【京都の商習慣】「値切らない」「紹介制」が成り立つ本当の理由と、一度だけ本気で縁を切った話~

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「京都の人間は値切らない」

こう言うと、

気取り屋なのかと思われるかもしれませんが、

理由は至ってシンプルです。

目先の数円・数千円を得するよりも、

「良好な関係を保って、必要なときに融通を利かせてもらう」

という、長い目で見た得を取るからです。

実際、僕自身も店側に立つ人間ですが、

日頃から良好な関係を築いてくださっているお客様には、

余程のことでない限りできる限りの融通を利かせます。

店側としても「覚えめでたくなり、末永くご愛顧いただける」

という大きなメリットがあるからです。

そして、京都独特と言われる「紹介制度(一見さんお断り)」も、

実は物凄く合理的な仕組みです。

間に入ってくれた人の顔を潰さないよう、

紹介された側も無茶な振る舞いをしない。

値切らないのと同じで、

お互いが気持ちよく付き合い続けるための、

実に良く出来た人間関係のシステムだと感じます。

それでも「例外」は存在する


と、ここまで書くと「京都人はみんな礼儀正しくてルールを守る」

ように聞こえるかもしれませんが、

もちろん世の中そんな綺麗事ばかりではありません。

どんなに優れた仕組みがあっても、

ルールを破る人や無神経な人は一定数存在します。

以前、取引先からある人を紹介してもらったときのこと。

その紹介された方が不義理を働いたことがありました。

すると間に入ってくれた取引先の方が、

年下の僕に対して平身低頭で謝りに来られたのです。

僕としては、取引先の方との良好な関係を大切にしたかったので、

気にしていない旨を伝え、笑顔で丸く収めました。

紹介してくれた方の顔を立てることこそが、最優先だからです。

しかし、逆の立場になったとき、僕は人生で一度だけ本気で怒り、

絶交した人物がいます。

同業者に「怒った」日と、縁の切り方


僕が仲介となり、ある同業者を信頼できる方へ紹介したときのことです。

なんと、その同業者が紹介先の顔を思い切り潰すような真似をしました。

その事実を知った瞬間、僕は平身低頭で深々と謝罪しました。

自分が間に入った以上、その責任は僕にあるからです。

問題はその後です。

僕はその同業者に凄まじく怒りました。

「注意する」でも「叱る」でもなく、ただただ「怒った」のです。

年上の同業者でしたが、関係ありません。

間に入った人間の顔を泥で塗りたくり、

築いてきた信用を台無しにした振る舞いが許せなかったからです。

ですが、その人は自分が悪いことをしたという自覚すらなく、

不満をタラタラと漏らす始末。

「あ、この人とはもうダメだ」

そう確信した僕は、こちらから縁を切るのではなく、

向こうから縁を切りたくなるように仕向けて、綺麗サッパリ絶交しました。

一応言っておきますが、これだけで怒ったわけではありません。

今までの積もり積もったものがあった上での決定打だったのです。

(余談ですが、後日その人が奥さんの浮気で離婚したと聞いたときは、

「奥さんに同情するわ…」と思ってしまったほどです)

おわりに:だからこそ「ありがたみ」が身にしみる


こんな胸くその悪い出来事は、

僕の長い付き合いの中でも極めてレアなケースです。

周りを見渡せば、付き合っているのは本当に良い人ばかり。

僕自身が何かしくじってしまった時でも、

周囲の皆さんは笑って許してくださいます。

本当にありがたいことですし、恵まれていると心から感じます。

目先の損得ではなく、人の信用や顔を立てる文化。

それを当たり前に共有できる人たちと仕事をし、

生きていけることのありがたさを、

あの苦い経験は逆に教えてくれたのかもしれません。

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